「東京の相場」「世田谷区の相場」——こうした一つの数字は、便利そうに見えて、実はほとんどの町の実態とずれています。まとめる範囲が広いほど、中にある差が 1つの代表値に潰れてしまうからです。ureyuki が町名の単位まで降りているのは、その潰れた差をもう一度ひらいて見せるためです。
同じ東京の区でも、土地の㎡単価の中央値は区によってまるで違います。下の6区だけでも、足立区と港区で約7.6倍。市区町村でまとめても、これだけ開きます。「東京の平均」を1つ出したところで、どの区の実感とも合いません。
では区の数字なら実態に合うかというと、まだ粗いのです。同じ世田谷区の土地でも、いちばん安い町は30万円前後、高い町は110万円台。3倍以上の開きがあります。「世田谷区の相場は73万円」と1つにまとめた瞬間、この幅はまるごと見えなくなります。あなたが気にしているのは「世田谷区」ではなく、たいてい「世田谷区の“ある町”」のはずです。
町名まで降りて全地区を並べると、その差は想像以上です。土地の㎡単価の中央値は、いちばん低い足立区 宮城で18.9万円、いちばん高い港区 赤坂で400.0万円。同じ東京の中で21.2倍です。この2つを同じ「東京の平均」という袋に入れて何の意味があるでしょうか。
理由は単純で、広い袋に混ぜるほど、中の差は1つの代表値に吸収されるからです。市区町村は、駅前のマンションも、坂の上の低層住宅地も、旧い工業地の跡も、ぜんぶ同じ袋に入れます。駅単位でも同じで、ひとつの駅の勢力圏にはいくつもの町が入ります。混ぜてから中央値を取れば、なめらかな1つの数字にはなりますが、それは「どの町の実態でもない数字」です。
多くの相場サイトが駅・市区町村で止まっているのは、能力の問題というより割に合わないからです。町名の単位までページを作ると、全国では数千〜数万ページになり、その多くは月に数回しか見られません。人手をかける組織には正当化しにくい領域です。 ureyuki は国土交通省のAPIから定期的にデータを取り直して集計しているので、この粒度まで降りられます。
いいことばかりではありません。町名まで降りるほど、1つのコマに入る取引の件数は減ります。件数が少ない数字は、1件入れ替わっただけで大きく動き、当てになりません。
だから ureyuki は、8件に満たないコマには数字を出さず「データ不足」と書き、10年で20件に届かない町はページ自体を作りません。「町名まで降りる」と「当てにならない数字は出さない」は両立させる必要があり、その線を引いたうえで降りています。降りられるところまで降りて、そこから先は正直に「出せない」と言う——それがこのサイトの立ち位置です。
→ 町ごとの実数を見る:町名を探す/ 地区をまたいで比べる
最終更新: 2026年10月11日